糖尿病は、血糖が高くなる病気です。
この「高血糖」の状態が続くと、からだのあちこちにいろんな合併症(余病)が起こります。眼底出血を起こす網膜症、尿にタンパクが現れる腎症、そして全身の神経に故障を起こす神経障害が、高血糖で起こってくる合併症です。
神経は、脳とそれに連続する脊髄から全身に枝分かれしてひろがっています。高血糖で悪くなるのは、からだの末端のほうまで伸びている「末梢神経」です。末梢神経には、痛みなどを感じる「感覚神経」、筋肉を動かす「運動神経」、心臓や胃腸の働きを整えたり血圧や体温をコントロールする「自律神経」の三つがあります。糖尿病の治療が不十分なときには、この三つの神経に障害が起こります。
神経は、末端のほうほど栄養や血液が行きにくくなるので、足の先や手などに神経障害が起こります。しびれや痛みなどの感覚神経の障害は、右のような症状で気付きます。これらは比較的初期に現れますが、この段階で適切に治療することが大切です。症状の程度が軽いからといって放置していたり、市販薬に頼って自己療法を続けていると、そのうち病気が悪化し、後戻りできなくなってしまいます。
発行:一般社団法人 日本臨床内科医会
後援:小野薬品工業株式会社