骨粗しょう症とは、骨の内部がすき間だらけになって、骨が弱くなり折れやすくなった状態のことです。骨粗しょう症では、わずかな衝撃でも骨折してしまい、とくに、背骨、手首、腕の付け根、腿の付け根(大腿骨頸部)などに骨折が多く起こります。そのうち最も注意が必要なのは大腿骨頸部の骨折です。治療には数か月かかり、その間ほとんど動くことができませんので、とくに高齢者は体力が低下して、そのまま寝たきりになったり、余病を起こして早期に亡くなられることも少なくありません。このような骨折をしないために、骨粗しょう症を早めに見付け、治療することが重要です。
骨粗しょう症にはほとんど自覚症状がありません。症状が現れないまま進行するのがこの病気の特徴です。つまり、治療は何らかの症状が現れてから始めるのではなく、骨量が減っているとわかった時点から治療を始め、骨折を防ぐことが大切です。それにはまず、骨量測定検査を受けて、骨の強さを知ることが第一歩です。
年とともに背が低くなったり、腰や背中が曲がって腰痛を起こすことがありますが、これは骨粗しょう症による背骨(脊椎)の圧迫骨折の症状の場合もあります。ぜひ詳しい検査を受けてください。
発行:一般社団法人 日本臨床内科医会