日本臨床内科医会 - Japan Physicians Association

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日本臨床内科医会誌の紹介

日本臨床内科医会会誌

第24巻5号

  ■目  次■
●巻頭言:高齢化と日臨内 日本臨床内科医会副会長 望月 紘一
●第27回一般社団法人日本臨床内科医会総会のご案内 i
●第24回日本臨床内科医学会(石川県)のご案内(第2報:日程,演題募集要綱,事前登録等) ii
○発刊中のコンベンションDVDのお知らせ xiii
○認定医及び専門医制度単位取得用郵便振込用紙
■目で見るページ■
先天性全身性脂肪萎縮性糖尿病(Lipoatrophic Diabetes)
(日本臨床内科医会会誌編集委員,愛知県)  安藤 忠夫  551
■日進月歩 Medical Topics■
高血圧性肥大心の病態と治療(循環器系領域) (和歌山県) 有田 幹雄  553
気管支喘息発作と横紋筋融解(呼吸器系領域) (石川県) 坂東 琢麿  554
認知症と糖尿病―特に糖尿病を合併するアルツハイマー病を中心に―(脳 神経系領域)
(京都府) 藤原 哲司  555
腎不全時に注意すべき頻用薬剤(腎 電解質系領域) (和歌山県) 大谷 晴久  556 ■総 説■
関節リウマチ(RA)の診断(早期診断を念頭において) 認定医及び専門医制度単位取得企画
(学術部アレルギー リウマチ班/熊本県) 岡 啓嗣郎 557
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の治療―最新の進歩―
(学術部アレルギー リウマチ班/兵庫県) 土田 哲雄 563 ■特集「心房細動を巡る諸問題」■
●座談会:心房細動患者のトータルマネージメント (日本臨床内科医会 学術部 循環器班) 568
●解 説
基礎疾患を有する心房細動の治療戦略~高血圧 心不全 糖尿病患者を中心に~
(学術部循環器班 班長/大阪府)  中尾 正俊 579
 大規模試験を踏まえたリズムコントロールとレートコントロールの選択
(学術部循環器班/秋田県) 松岡 一志 583
心房細動の非薬物療法 (学術部循環器班/石川県) 洞庭 賢一 587
スタチン系薬剤を用いたアップストリーム治療 (学術部循環器班/大分県) 松本 悠輝 591 ■日臨内研究2009■
生活習慣 健康状態 排尿障害の調査研究 (日本臨床内科医会2009年調査研究グループ) 593 ■講 演■
●第23回日本臨床内科医学会(埼玉県)報告 その2
  学会長講演
埼玉県内科医会会員を対象とした糖尿病診療のアンケート調査 (埼玉県内科医会会長) 大島 誠一,他  621 特別講演
心不全の新しい発生機序と再生治療 (千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学教授) 小室 一成,他 628 教育講演
慢性B型,C型肝炎の治療 (千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学教授) 横須賀 收  635
糖尿病合併症の成因と対策 (自治医科大学さいたま医療センターセンター長) 川上 正舒  640
血管老化制御への高血圧からのアプローチ (大阪大学大学院老年 腎臓内科学教授) 楽木 宏実  647
心房細動の最新治療:新しいガイドラインを視野に入れて
(東京医科歯科大学循環器内科准教授) 平尾 見三  653  シンポジウム3「在宅医療に挑む」講演
在宅医療は医療の原点 (医療法人社団萌気会理事長) 黒岩 卓夫  658
若手医師が挑む在宅医療 (三つ葉在宅クリニック栄) 舩木 良真  661
看護サイドからみた在宅医療 在宅ケア (財団法人日本訪問看護振興財団常務理事) 佐藤美穗子  667
訪問看護ステーションを核とした在宅医療連携の試み (社団法人都筑医療センター理事長) 斉木 和夫 672  医学会長賞受賞演題
フェノフィブラートの肝機能検査値異常はどのくらい続くのか?
神津内科クリニック(東京都) 神津  仁  676
 スタチンのIMTならびにCRPに及ぼす影響についての検討―エゼチミブとの比較―
徳竹医院(埼玉県) 徳竹 英一  681 ■投稿論文■
●臨床研究
メタボリック症候群および予備群を診断する腹囲指数(WCI:Waist Circumference Index)の検討
医療法人健身会(埼玉県)  周東  寛,他 688 ●臨床経験
肺外結核15例の経験 同心会古賀総合病院内科(宮崎県) 松岡  均,他 698
ピオグリタゾン効果不充分な2型糖尿病に対するグリメピリド併用による糖代謝および脂質代謝異常の改善効果
守口敬任会病院総合内科(大阪府) 大山 恭夫,他 702 ■シリーズ■
●他科に聞くシリーズ
内科医のための歯周病の知識―糖尿病と歯周病との関わりを中心に―
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座歯周病学分野教授) 和泉 雄一 707 ●シリーズ◆お知恵拝借コーナー
第34回 吐血を繰り返した症例 (岩国錦病院/山口県) 池田 圭介,他 713
症例検討 (学術部消化器班) 小松眞史,野村元積,山田俊彦,石塚尋朗,永田 宰,木村直躬 716 ■コーナー■
●医療 介護保険コーナー
グループホームの現状と課題 社会保険部 医療 介護保険委員会(石川県) 竹田 康男 721 ●ITコーナー
レセプト請求ができなくなる?? 庶務部IT委員会(秋田県) 佐藤 家隆 723 ●地域医療の現場から
福岡市中央区医師会における認知症診療ネットワーク形成の試み
社会医療部 地域医療委員会(福岡県) 田中耕太郎 725 ■コラム■
厚労省の健康戦略の失策 (東京都) 斉藤 欣一 726
積極的な無熱性肺感染症の診療と治療のすすめ~喘息 COPD死を減らすために~
(埼玉県) 周東  寛 727
寝台車,夜行列車 (広島県)  松尾 信孝  728
私の診察法 (山口県)  薦田  信  729
総合診療医と検診 (山口県)  鷲田 晢雄  730
病診連携 内と外 (徳島県)  河野 知弘  731
看護教育に思うこと (佐賀県)  徳永  剛  732
●会誌読後評価(アンケート:第24巻第4号)集計結果 733
●日本臨床内科医会会誌 第24巻総目次 735
●日臨内ビデオシリーズのご紹介 741
●日本臨床内科医会会誌投稿規定 744
●編集後記 749
(認定医及び専門医制度単位取得企画の前号設問の正解は,編集後記(749頁)の下に掲載されています)
              会誌へのご意見はメールでも送れます:japha_kaishi@yahoo.co.jp

巻頭言

高齢化と日臨内
日本臨床内科医会
副会長 望月紘一

 平成22年の新年が明け、21世紀は早くも二度目の10年が始まることとなる。私が東京の住宅地域で診療所を開設して30年が経過した。開業当初は30歳台であった私も今や高齢者といわれる年齢になり、通院している患者さんたちも当然変化してきている。近くの大きな団地の平均的家族の家長の年齢層も、40~50歳台から70~80歳台へと変化した。社保本人・家族が2/3、国保1/3であった患者層も、社保1/3、国保1/3、残りの1/3は75歳以上の後期高齢者となった。毎月通院している高齢の方々も次第に足腰が弱まり、80歳も後半を過ぎると通院すること自体が体力的に困難となることが少なくなく、通えなくなった時にはどうすればよいか質問され、「その時は、私が定期的に往診して対応します」などと即答できなくて困惑する。高齢化社会が到来 したことはずいぶん前からいわれていたが、自分が高齢となり自院の患者さんも高齢となってはじめて強く実感される。通院患者への対応に手いっぱいの現状と、これから低下してゆくであろう自分の体力を考えてしまうが、今後、在宅医療を重視した診療体制への方向転換の必要性も感ずる。

 さて一方で、日臨内の会員の年齢構成は如何であろうか。各県内科医会の集合体である日臨内では、全会員の年齢の詳細を把握することはむずかしいが、認定医制度、専門医制度に加入している会員のデータでは、70歳台は当然として、80歳台、90歳台の先生方も少なくなく、高齢会員が多いことが特徴である.若い会員の新規入会がなかなか進まない悩みはいつも問題となり、その対策は喫緊の課題であることはもちろんであるが、視点を変えて高齢会員が多い現状を踏まえた対策も必要である。

 高齢の患者にとってみれば、高齢者の体調や心理が理解できる年齢であつて、なおかつ医学の進歩に取りされずに新しい医学知識を備えた医師からの診察を受けたいと思っていると考えられる。家庭環境の違い、加齢現象のあらわれ方、生活習慣の影などが個人個人で大きな差となることが高齢者の特徴であり、それを理解できるのは、その地で永年地域医療に従事した医師であろう。そのような経験豊富な高齢会員が多いことも、正に日臨内の大きな誇りの一つである。

 創立25周年を迎える日臨内では、まず会員自身がみずからの健康を保持・増進していくために役立つ事業を展開し、そのうえで高齢化日本に貢献する医師となるために役立つ活動が求められる。そこで、日臨内では近い将来、会員の健康調査が予定され、また今後ますます重要となるであろう在宅医療について、その基本から検討する事業を計画中である。会員の先生がたのご協力をお願いしたい。

第24巻第4号

■目次
●巻頭言:政権交代実現 日本臨床内科医会副会長 余 昌英
○第23回日本臨床内科医学会アルバム
●第27回一般社団法人日本臨床内科医会総会のご案内      i
●第24回日本臨床内科医学会(石川県)のご案内(第1報:概要)      ii
○コンベンションDVD発刊のお知らせ      iv
○認定医及び専門医制度単位取得用郵便振込用紙
■目で見るページ■
甲状腺機能低下症(粘液水腫性顔貌) (日本臨床内科医会会誌編集委員,石川県) 洞庭 賢一 423
■日進月歩 Medical Topics■
高血圧治療の常識は常に進化する(循環器系領域) (神奈川県) 宮川 政昭 425
生理的ぺーシングに向けた心臓ペ-スメーカーの進歩(循環器系領域) (石川県) 洞庭 賢一 426
「レジかな?」まず疑うことから始めよ―レジオネラ肺炎(呼吸器系領域) (岩手県) 武内 健一 427
慢性骨髄性白血病はTK阻害薬で治癒可能か(血液系領域) (徳島県) 小阪 昌明 428
インスリン治療と発癌リスク論争(内分泌 代謝系領域) (宮城県) 鈴木 研一 429
CKDにおける高血圧治療(腎 電解質系領域) (奈良県) 山田 宏治 430
疼痛と不定愁訴の影で(アレルギー リウマチ系領域) (千葉県) 戸叶 嘉明 431
介護保険「みなし通所リハビリテーション(リハビリ 介護系領域) (北海道) 松本 修二 432
■総説■
内科医の漢方診療 (漢方三考塾) 髙山 宏世 433
■特集「インフルエンザ」■
●座談会:インフルエンザ―季節性インフルエンザから新型インフルエンザまで―
(日本臨床内科医会 学術部 感染症班) 445
■解説■
迅速診断キットについて (日臨内常任理事 インフルエンザ研究班担当/石川県) 岩城 紀男 456
病院における新型インフルエンザ対策 (学術部感染症班/広島県) 桑原 正雄 461
抗インフルエンザ薬について (日臨内インフルエンザ研究班 班長/岐阜県) 河合 直樹 466  インフルエンザに随伴する異常言動について
(日臨内インフルエンザ研究班副班長/神奈川県) 廣津 伸夫 470
■講演■
教育講演
見逃してはいけない糖尿病―劇症1型糖尿病 (大阪医科大学第一内科教授) 花房 俊昭 475
腎臓から高血圧診療を考える (埼玉医科大学腎臓内科教授) 鈴木 洋通 480
■投稿論文■
●臨床研究
  血清クレアチニン値および尿中アルブミン値からみた2型糖尿病患者のeGFR病期 
山田医院(奈良県) 山田 宏治 487   高血圧患者におけるシスタチンC測定の有用性―腎硬化症超音波所見との関連について―
柳澤診療所(東京都) 柳澤 孝嘉,他 492   軽度高コレステロール血症者に対する紅麹含有食品の臨床的有用性および安全性
大阪府内科医会 泉岡 利於,他 499
■シリーズ■
●他科に聞くシリーズ「内科医のためのPETの知識」 (北原医院/神奈川県) 北原 隆,他 504 ●シリーズ◆お知恵拝借コーナー
第33回 診療所高血圧 (諸星クリニック/神奈川県) 渡部 廣行 511
症例検討 (学術部循環器班/神奈川県) 宮川 政昭 512
■コーナー■
●医療 介護保険コーナー
 介護保険要介護度認定方式の変遷について
社会保険部 医療 介護保険委員会(和歌山県) 田中 章慈 518  地域医療の主体は「民」,難局にどう立ち向かう? 
社会保険部 医療 介護保険委員会(秋田県) 門脇 謙 521
●ITコーナ
インフルエンザのリアルタイムサーベイランスについて 庶務部 IT委員会(岐阜県) 河合 直樹 523
■コラム■
禁煙外来余談 (秋田県) 小泉 亮 526
在宅医療のひとつの現況 (福島県) 齋藤 紀 527
雑 記 (長崎県) 星子 浄水 528
●部会報告:第42回代議員会(第23会日本臨床内科医学会,平成21年10月10日) 529
●会誌読後評価(アンケート:第24巻第2号)集計結果 541
●日臨内ビデオシリーズのご紹介 543
●日本臨床内科医会会誌投稿規定 545
●編集後記 549 (認定医及び専門医制度単位取得企画の前号設問の正解は,編集後記(549頁)の下に掲載されています)
              会誌へのご意見はメールでも送れます:japha_kaishi@yahoo.co.jp

巻頭言

 鳩山政権発足1ヵ月が経過しました.おおむねその真剣さに,高い支持率をえて順調な滑り出しのようです.
 このたびの選挙で大方の予測どおり,民主党の大勝利で60年ぶりの本格的な政権交代が行われました.
 選挙大勝利の翌日21年9月1日の毎日新聞のコラムに神戸女学院の内田 樹 氏が面白い表現でこの政権交代を述べていました.「今回は政権交代という既にある着地点にめがけて投票した感じだ.言い換えればテレビのチャンネルを変えたようなもの.次のチャンネルで何をやっているのかわからないが,今までのチャンネルに出ている役者の芸風に飽きたから,替えただけのことである」.上手いことをいっているなあと感心しましたのでお借りしました.いろいろな理屈はつけられると思いますが,単純化して国民の投票行動を表現すればこんなところかもしれません.
 野党であった時には好き放題のことをいっていられた民主党が,与党となりいろいろな政策を実施していく時に,果たしてどのように従来の主張を実現できるのか注目すべきところです.
 特に後期医療保険制度の廃止はその後に何をもってきてこれに変えるのか,心ある人には大きな関心の的です.以下は「二木 立の医療経済,政策学関連ニューズレター(通巻61号)」より要旨を引用いたしました.
 民主党の医療政策の中でも,医療費と医師数の大幅増加の数値目標が明示され,「OECD平均の人口当たり医師数を目指し,医師養成数を1.5倍にする」「総医療費対GDP比をOECD加盟国平均まで今後引き上げて行きます」とマニフェストに明記されました.
 また診療報酬の公的病院への偏重もが鮮明にされています.「中医協の構成,運営等の改革」が懸念されるところです.民主党の最大支持母体である連合(日本労働組合総連合会)の医療政策が自治労の強い影響下にあり,その自治労の医療政策は,傘下に多くの自治体病院組合員を抱えるため,伝統的に公立病院偏重,開業医軽視だからです.たとえば連合の「制度,政策 要求と提言」には「診療所については定額式を原則とするとともに将来的には家庭医登録制度の採用と登録患者の数に応じた医療費支払い方式である人頭払い制度の導入も検討する」という,かってイギリスのNHSで採用されたが現在では修正されている,日本の医療の現実からはかけ離れた政策が堂々と掲げられています.
 このような民主党の医療政策に対してよほどしっかりと日本医師会を中心に立ち向かわねばなりません.